「公益通報者保護法と内部通報制度①」において、公益通報者保護法は労働者保護を目的としていると書きました。そこで、今回は、具体的にどこに通報した場合に、どのような保護を受けられるのかを検討していきます。

 

保護の内容については、公益通報者保護法において、

3条:解雇の無効

4条:労働者派遣契約の解除の無効

5条:不利益取扱いの禁止

が規定されています。

 

そして、3条においては、解雇が無効となる条件が、通報先によって異なると規定されています。少し長いのですが、3条は以下のとおりです。

第三条  公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に掲げる事業者が行った解雇は、無効とする。

一  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該労務提供先等に対する公益通報

二  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関に対する公益通報

三  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報

イ 前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ロ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ハ 労務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

ニ 書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。第九条において同じ。)により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合

ホ 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

 

すなわち、通報先が1項が会社、2項が行政機関、3項がマスコミ等と異なっており、そして保護される要件が、1項から3項に行くにしたがって厳しくなっています。

 

このように公益通報者保護法は、通報先によって保護されるための要件が異なり、労働者の方が使いやすい制度とは必ずしもいえません。

 

内部通報制度においても、公益通報者保護法と同様の保護内容だが、保護される要件を法律よりも緩和する規定とし、通報先として会社や弁護士事務所等の外部機関を規定することにより、内部通報の実効性を法律以上に確保することを可能とすることができます。

ただ、保護される要件を緩和すると、内部通報制度とは関係のない個人的な事柄の相談や、仕事への不満等が通報されることになるおそれもあります。その点に対しては、関係のない通報を全て排除することはできませんが、内部通報制度の適切な社内告知等で、徐々に従業員の方へ制度趣旨を理解してもらうといったことが重要になってきます。

 

(SRM NETWORK 顧問弁護士 植野礼央)